- アダルトチルドレンとは
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もともとは80年代のアメリカで、ケースワーカーやセラピストが使い始めた用語であり、医学用語ではありません。初めは「アルコール依存症の親のもとに育った子どもたち」という意味(ACoA=adult children of alcoholic)でつけられました。
その用語が草の根的に広がり、1993年にビル・クリントンが第42代アメリカ大統領に立候補した時、「私はACだ」とカムアウトしたことから有名になった言葉です。
その後、アルコール依存症の親のもとに育った子供に限定されるのではなくて、「家族内で不適切な養育(暴力、ネグレクトなどの虐待)を受け、トラウマを負いながら生き延びた人たち」という意味で使われるようになりました。
メンタルクリニックを受診すれば、「適応障害」「気分変調性障害」「PTSD」と診断されることもあり得ます。
アダルトチルドレンを自覚する方々にみられるのは、児童期のトラウマ(外傷体験)による複雑性PTSDです。
複雑性PTSDは「自己感覚の障害」であり、「自己愛の発達」に制限がかかっている状態です。
この状態から適切な自己評価、健康な自己愛、つまり自己肯定感を育てることにより「より成熟した自己愛者」に変化する可能性があります。
ACの役割分類
以下はACが家庭の中でどのような役割をもって生き延びているかを分類したものです。
ACはこのような子供時代の生き残りの戦術を大人になってまで使い続けます。
- ヒーロー
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世間に評価される子供がその家族から出ると、その子のさらなる活躍に熱中して両親の冷たい関係が一時的に改善する。
- スケープゴート(犠牲の山羊)
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この子さえいなければすべて丸く収まるのではないかという幻想をほかの家族メンバーに抱かせることによって、家族の真の崩壊を防いでいるような存在。
- ロストワン(いない子)
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「いない子」という存在のしかたをしている子供。家族内の人間関係を離れ、自分の心が傷つくことを免れようとしている。
- プラケーター(慰め役の子)
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一家の中でいつも暗い顔をしている親(多くの場合母親)を慰める子供。
- クラウン(道化役の子)
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家族を笑わせてその場の緊張を緩和しようとする子供。
- イネイブラー(支え役の子)
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小さいときから他の家族の世話を焼き、母親や父親の役割を補完する子供。
ACの感情生活の特徴
- 周囲の期待に沿おうとする
- 完璧主義にとらわれ、一歩がでない
- 見捨てられ不安が強く「NO」が言えない
- 他人にしがみついてそれを愛情と混同する
- 人の言動を被害的にとりやすい
- 人生を楽しめない
- 環境の変化をきらう
- 他人からの承認を渇望する
- 現実感喪失を伴いやすい
ACと言われる人たちの来室時に多い主訴
- 自信がない、人からの評価が気になる
- 自分が何が好きで、何をしたいのかわからない
- 将来像が描けない
- 劣等感が強く、自己肯定感が持てない
- 「ありのままの自分がうけいれられるはずがない」と思う
- いつもさびしい
- 親しい人間関係が作れない
- 無気力で何もする気が起きない
- うつの治療を受けているがよくならない
- 依存症がある(アルコール、摂食障害、共依存等)
- 見捨てられ不安が強く人にしがみついてしまう
- 慢性的な不定愁訴(肩こり、腰痛、腹痛、不眠、頭痛、手足の痺れなど、口腔内の違和感)
アダルトチルドレン回復へのステップ
アダルトチルドレンの回復へのステップはおおよそ3段階に分かれます
- 1. 相談者とセラピストとの1対1の関係の中で、信頼関係を作り、セラピーが安全な場所であることを確認する。適切なセルフケアを行う
- 2.過去のつらい体験(主に原家族との関係)の記憶にセラピストとともに立ち向かっていく。記憶とともに出てくる情動を感じて、記憶と感情の統合を行う。
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この時期は自助グループに参加して自分の体験を話す事も有効な手段である。同じような体験をした仲間のなかで、自分の体験を話せる場所が安全な場所と思えるようになり、少しづつ人間関係が変わっていく。
- 3.「過去のつらい経験は、過去の記憶であり、今現在に影響をおよぼすものではない」ということをセラピストとともに確認する。
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これまでと違う安全な人との間の人間関係が構築できるようになる。
回復はこの3段階を行きつ戻りつしながら、目指す方向へと向けて変化する。
逆にこの問題を放っておくと、現在、そして将来の人間関係がすべて過去の虐待体験の再演になり、いつも危険な異性とつきあったり、加害-被害関係のなかで被害者になってしまう。或いはひきこもったり、依存症になる。
AC当事者カウンセラーが
おうかがいします
私自身が、ACを自覚した当事者カウンセラーです。
私の回復の体験と心理専門家としての知識と経験を使って、お話を伺います。